毎年この時期、年長組はお泊り保育があります。
朝、親が子どもを常盤平駅まで送って、お見送り。先生と子ども達だけで、電車とバスに乗って、佐倉市にある「草ぶえの丘」へ出かけます。
くるみえんで毎年行く、この「草ぶえの丘」は、自然たっぷりの広い敷地の中に、ヤギやクジャクなどの動物たちがいて、ミニSLやアスレチックなどの子ども達の遊具がいっぱいあり、そして宿泊施設もあるという素敵なところです。
お泊り保育後、4名の引率してくださった先生方からの報告会がありましたので、その時に聞いたお話を、抜粋してお伝えします。 (年長 母)
「今年は涼しかったので、草ぶえの丘には、ヤギやウサギとかだけでなくて、いーっぱい生き物がいたのよ。トンボ、バッタ、コオロギ・・・水辺にはアメンボがびっしり! 外にいる時間は、それらを捕まえようと追いかけるのがほとんど。Aちゃんに、「先生みて~」と言われたら、手のひらに小さいカエルが5匹のっていたわよ。」
「森の中を探検しながら宿泊施設まで帰ったの。その時、子ども達が二つのグループに分かれて、二方向にそれぞれ森の中に入っていったの。最初は『おーい』と言うと、もう一つのグループの『おーい』と声が聞こえたのに、どんどん森の奥に進むうちに、お互いの声が聞こえなくなってきて。Bくんは不安になっちゃって、『みんなは、どうしている?』と何度も聞いていた(笑)
『オバケがでそう』と言って、棒であちこちを叩きながら、みんな意気揚々と歩いていたわよ。途中でアリ地獄を見つけたり、いっぱい寄り道したりして辿り着いたグループを、さっさと着いてしまったグループはずっと待っていたの。」
「夜、キャンプファイヤーは、火の粉が上がるのを、子ども達がうっとりと見ていて、そうしたら、自然に「ほたるこい」(わらべうた)を歌いはじめたのよ。」
「泊まったお部屋は、とっても広くて綺麗で、Cちゃんが畳の数を数えていたけど、たぶん60畳。そこに、自分の好きな場所に自分で布団を敷いて、寝ました。」(「こんなかんじよ」と、子ども達が敷いた布団の配置を見せてくれました。息子はいつも一緒に遊んでいる友達と並んでいました。)
「Dちゃんは『今日は寝たくない』と言って、Eちゃんに『夜、寝ないで何しようか』と一生懸命相談しているの。でも、電気が消えたら、コロッと寝ちゃって。朝起きたら『寝なかった』と言っていたけどね(笑)」
「時間の流れがゆっくりしていて、子ども達はのびのびといつもどおりに過ごしていました。お母さんがいなくてちょっと不安だけど、普段くるみえんでできないことを、みんなとできて、それは子ども達の心に残ったと思う。お母さんがいなくても『行けた』という思いが自信となって、たった二日間の出来事だったけれど、子どもにとっては大きくなるきっかけになるんだと思います。」
「夕食後、広いお部屋の窓から、とても綺麗な夕日が見えたの。『じゃぁ、電気を消してみんなで見ようか』と言って、みんなで日が沈んでいくのを一緒に見たの。なかなか言葉では表せない感動があったわ。」
他にも、夜ちょっとした肝試しをしたり、翌朝は外で宝さがしをしたり、子ども達は、それはそれは楽しかったと思います。
私の息子は、お迎えの時、疲れたような表情をしていましたが、「お母さんがいなくても、お友達と先生とお泊りができたなんて、すごいね!」と言うと、照れたような笑顔をみせてくれました。
入園前の息子は、マイペースで同年齢の子と一緒に遊ぶようなことはありませんでした。靴を履くとか着替えるとか、他の子ができるようなことも全然できなかった子どもだったので、不安でした。その時、先生に「小学校に行くまでに、友達を信じるということも、多少の困難は自分で乗り越える力も、身につけさせてあげるから大丈夫。」と言われても「本当かなぁ?」と、半信半疑でした。
それが、毎日をくるみえんで過ごす中で、息子は気の合った子と少しずつ一緒に遊ぶようになり、身の回りのことも徐々に自分でできるように先生方に導いてもらい、ゆっくりと成長してきました。年長になった今、まさに彼に身についた「友達を信じる気持ち」と「自分で乗り越える力」で、息子はお泊り保育に行ってこられたのだと思います。先生がおっしゃってくれたこと、本当でした!
彼にとって、“生まれて初めての友達”と、枕を並べて一緒に寝られたり、ご飯やお風呂などの生活を共にしたりできたことが、どれだけワクワクした経験だっただろうと思います。
帰ってきた時のリュックの中は、脱いだ洋服がきちんと畳んで袋にいれてキレイに入れられてありました。息子の時間がかかりながらも一生懸命畳んでしまっている姿が目に浮かんで、胸がキュンとなりました。